教育×読書 世界一やさしい超勉強法(5) 心を整える!
世界一やさしい超勉強法、第五弾になりました!
前回は、インプットの方法についてまとめました。
ラストを飾る第5弾では、勉強の効果を上げる心の整え方、勉強に向かう姿勢についてまとめていきます。
心の整え方を知り、勉強の効果を高めましょう!
要約
「ウィルパワーを減らさない生活習慣を身に付ける」
『自分を操る超集中力』
メンタリストDaiGo
日常生活で「選択」を減らそう
勉強を効率的に進めるために、「集中力」が必要な事は疑いないだろう。
「集中力」は、前頭葉から発生するもの。前頭葉が思考や感情をコントロールするが、その力は「ウィルパワー」と呼ばれている。ウィルパワーには一定の量があり、集中力を使うと徐々に減少していく。いかにウィルパワーを減らさないようにするかが大切である。
ウィルパワーを減らさない工夫はいくつかあるが、1つには日々の生活の中で「選ぶ」機会を減らすことだ。
アップルの創業者スティーブ・ジョブズがいつも黒いタートルネックを着ていたように、7日間の着回しコーディネートをあらかじめハンガーにセットしておくなど、「選択」を減らす工夫をすれば、ウィルパワーの減少することができるだろう。
集中力を左右する「水分」
さらに、水分の補給も忘れてはならない。脳の80%は水でできているため、水分の足はそのまま「ウィルパワーの減少」につながってしまう。こまめに水分を取ることが大切である。
同じ成分でも、コーヒーやエナジードリンクを飲む際にはコツが必要だ。コーヒーは1日の適量が450ミリリットル位、エナジードリンクは1日125ミリリットル位だ。これを超えると脳への刺激が過剰になってしまうため注意する必要がある。
学力低下を招く「スマホ」の使用時間を減らす
『スマホ脳』
アンデシュ・ハンセン
ジョブズが子どもにiPhoneを使わせなかった理由
iPhoneの生みの親であるスティーブ・ジョブズや、Microsoft創業者のビルゲイツは、自身の子どもにあまりスマホを使わせなかったそうだ。現在、大人は1日4時間、10代の若者は5時間ほどスマホに費やしている。
しかし、スマホの使いすぎは、依存や学力低下、孤独感など、多くの弊害がある。
「依存」についてはドラッグやアルコールと同じで、スマホを見ることで新しい快感が得られるために、「見ずにはいられない状態」になりやすいということだ。
「マルチタスク」は集中力、記憶力を阻害する
スマホは便利なもので、勉強しながら片手でネットサーフィンをしたり、友達からのメッセージに返信したり、ニュースを閲覧することもできる。
しかし、スタンフォード大学の研究者が行った実験で、スマホを使いながら勉強した人と、勉強だけをやっていた人の集中力を測定したところ、「マルチタスク(スマホ)派は集中が苦手」という結果が出た。具体的には、「重要でない情報も、無視できない状態」で、気が散りやすくなっていた。
私たちは本来、1度に1つのことにしか集中できないものだ。さらに、記憶力を強化しようとすると、脳細胞間に新しいつながりを作らなければいけない。そのためには集中する時間が必要になるのだが、スマホの通知がそれを邪魔してしまうわけだ。本人は情報を効率よく取り入れていると思いがちだが、実は記憶力の強化を阻害しているだけである。
勉強の効果を高めるためには、スマホの利用は適度にする必要がある。
脳のパフォーマンスアップのための理想の睡眠時間を知っておく
『ずるい暗記術 偏差値30から4大試験に一発合格できた勉強法』
佐藤大和
睡眠時間を軸に勉強時間を確保する
「問題集が終わらないので徹夜で勉強するぞ!」などと考えている人はいないだろうか。特に受験や試験前には「他人よりも多く勉強しなければ」と考え、睡眠時間を削って勉強にあてる人も多いのではないだろうか。しかし、実は成績の良い人ほどよく寝ているものだ。よく寝ているというのは、たくさん寝ていると言うことではなく、「その人なりに満足のいく睡眠をしっかりとっている」ということだ。
「満足のいく睡眠」は、人によって異なる。重要なのは、まず「自分にとって理想の睡眠時間」をしっかり把握すること。睡眠時間を把握したら、その時間以外で勉強時間を確保するようにすることが大切である。
睡眠は、「量」だけでなく「質」も意識する
目覚まし時計をかけずに寝て、自然と気持ちよく目が覚めたときの睡眠時間を何回か測ってみよう。これが、理想的な睡眠時間の基準になる。
一般的な成人であれば7時間半が目安ではないだろうか。どうしても7時間半より睡眠時間を削らなければならないときには、「睡眠サイクル」を意識しよう。睡眠サイクルは浅い眠りのレム睡眠と、深い眠りのノンレム睡眠があり、その繰り返しになっている。睡眠が90分おきに訪れるため、7時間半より短くしたいときには6時間を確保すると、比較的気持ちよく起きることができるはずだ。
「ステレオタイプの脅威」に気をつける
『スタンフォードが中高生に教えていること』
星友啓
「決めつけ」が、得意不得意を分ける
大学は文系理系に分かれているが、文系の人は本当にここが得意で、数学が苦手なのだろうか。スタンフォード大学の心理学教授であるクロード・スティール先生は、「ステレオタイプの脅威」という研究で有名だ。
ステレオタイプというのは、社会の中で「性別や人種、年齢などの属性によって、評価を決めつける」ことを指す。「白人の方が頭が良さそう」「男子だから理系分野が得意」「歳をとったから記憶力が落ちた」といったことだ。科学的には相関関係がないと立証されていても、こういったステレオタイプを意識してしまうことによって、その通りの影響が現れてしまうという現象を「ステレオタイプの脅威」という。
必要以上のプレッシャーを与えない
実際の実験でも、アフリカ系アメリカ人の生徒に対して、「黒人は白人と比べて知能が劣るのでは」というネガティブなステレオタイプが発生する形で知能テストをしたところ、普通にテストをするよりも成績が下がってしまったようだ。また、女性に女性を意識してもらうような状況を作り数学のテストに臨んでもらったところ、普通にテストをするよりも成績が下がってしまったこともあるようだ。
こういったステレオタイプで「レッテル」を貼ってしまうと、本来のパフォーマンスが発揮できない事態になってしまう。
逆に「優秀な父の息子だから勉強ができるはず」とか「小さい頃から国語が得意だったから、あなたはできる子よ」とポジティブに表現したとしても、必要以上のプレッシャーになってしまうと指摘されている。何らかの理由で成績が落ちてしまったときに「父は優秀なのになぜ…」「小さい頃から得意だったはずなのに… 」と余計に落ち込んでしまいかねない。
勝手な思い込みで変にレッテルを貼らず、そのままの状態を評価するようにしていく必要がある。
教育と関連して
「スマホの利用」、「睡眠時間」に関しては今の子どもたちにとって重要な課題であると思います。小学生ではスマホを利用している人はまだ少ないですが、ゲーム機でボイスチャットをしながらゲームをしたり、いろいろなアプリをインストールしている子が多くなっています。「帰ってからすぐゲーム」「学校でもゲームの話でコミュニケーションをとる」なんてこともしばしばです。
皆さんの周りでも、ゲームが気になりすぎて学習に集中できない、睡眠時間が削られる等の問題も起きているという話を聞いたことがあるのではないでしょうか。
現在は、GIGAスクール構想で子どもたちに1人1台の端末が配布され、ICT機器がより身近になっています。今一度、ICT機器の利用の仕方、ルール等を確認し、子どもたちにICT機器との適切な距離を学んでほしいと思います。