教育×読書 小学生の子が勉強にハマる方法(2)やる気を生み出す!

 小学校の子が勉強にハマる方法、第2弾です。

前回は勉強をワクワクさせる方法についてまとめました。

umi-kaze2.hatenablog.com

今回は子どものやる気を引き出す方法についてまとめていきます。

要約

子供のやる気はどこから生まれるのか

 子供には自分から勉強に取り組んで欲しい。これはほとんどすべての親に共通する思いではないだろうか。だからこそ、子供がちゃんと勉強しないと、期待を裏切られてイライラしてしまう。そしてつい怒ってしまうのではないだろうか。

 しかし、怒って勉強させるという行為は、すればするほど我が子の自発的な勉強から遠ざかる。親に怒られないために勉強している子たちは、成績が伸びない。

子供のやる気は外から?内から?

 やる気は、外から与えられるやる気と、家から湧き出るやる気に大きく分けられる。専門用語では、それぞれ「外発的動機付け」と「内発的動機づけ」と呼ばれる。

 外からのやる気は、自分の行動が外部(他の人や環境)の報酬、命令によって生じている状態のことを指す。「成績が悪いと怒られるから」「宿題を終わらせたらゲームができるから」などが、外からのやる気で動いている例だ。

 一方で、内からのやる気とは、自分の行動が完全に自律的で、興味から生じている状態のことだ。「新しい情報を得たい」「なぜなのか、物事のつながりを知りたい」「前より上手くなりたい」などが、家からのやる気に含まれる。

 この2つの動機付けのうち、先に発見されたのは外からのやる気だ。1950年代までの心理学の主流だった行動主義心理学と呼ばれる分野では、動物実験を行いながら学習について研究をしていた。鳥が「押すと餌が出るレバー」を押すことを学ぶなどの実験から、どういう報酬をどのように与えることで人を動かせるかを考えたわけだ。ビジネスの世界でも、「人はなぜ動くのか」に対して、経済的動機(給料等)が全てだと考えられていた。

 しかし、徐々に労働意欲は「職場における良好な人間関係」や、「何かやりがいのあるものをやり遂げたいと言う欲求」に関係するのではないか、ということが発見されていく。こうして家からのやる気に注目が集まっていった。

勉強理由がやり方を左右する

 内からのやる気で動いている子供は、深く、持続する学習を実行しようとする。「知りたい」「理解したい」と感じる限り、自分の意欲で取り組み続ける。「こういう方法で学習すれば、より深く理解できる」という話をすれば、それを取り入れようとする。難しい問題に対しても、粘り強く取り組むようになる。

 外からのやる気で動いている子供は、浅く、短絡的な結果に注目する。怒られたくないから宿題をする子は、怒られないラインを超えさえすれば、そこで学習を打ち切る。終わらせることが目標になるため、良い方法で学習することを意識しない。また、失敗したり、成功の見込みが薄いと感じたりすると、簡単に諦めてしまう。

 子供が良い方法で粘り強く学習するようになって欲しければ、最後は力のやる気が生まれるように導いていく必要がある。

自己選択がやる気を引き出す

 人間には、根源的な欲求の1つとして「自律性」がある。人は自らの行動を選び、主体的に行動することを求めるというものだ。自律性は私たちが考えている以上に、やる気や楽しさ、幸福感と強く結びついている。

 この自律性を奪われた形で誰かに強制されるのは、勉強だろうと仕事だろうと面白いわけがない。だから、良かれと思って親が計画を立て、その通りに行動させようとすれば、子供は勉強や練習がどんどんつまらなく感じるようになる。そして、勉強嫌い、練習嫌いの子ができあがるのだ。

 では、「子供には、自分でやることを決めさせた方が良い」と思い、子供に自由に行動を選択させると、今度はまた別の問題が起こる。勉強や練習がまだ好きでない子が選ぶものを想像してみると良い。テレビ、YouTube、ゲーム、漫画などだろうか。

 子供が自分から勉強を選ぶのは、もっと勉強が好きになってからの話だ。勉強好きになる前に、いきなり自由に決めさせると「遊んでばっかり」と言う問題が起こるのだ。

自分で選んだ感覚がやる気につながる

 そこで有効なのか、選択したような感覚を与えることだ。参考になるのが、イェール大学の心理学者ダイアナ・コルドヴァらは、小学校4、5年生72人に、SFをテーマにしたパソコン用の算数学習ゲームを与えた。

 実験者は、1部の生徒にだけ自分を表すアイコンを4つの中から選ばせ、宇宙船に好きな名前をつけられるようにした。ほかの子供も同じゲームを行うが、アイコンや宇宙船の名前はコンピューターが自動的に決定した。

 その結果、宇宙船の名前やアイコンを選択できた生徒の方がゲームを楽しみ、休み時間にもプレイを続ける傾向を示した。それだけでなく、その後の算数のテストでも好成績を修めたそうだ。選択対象が学習内容とは無関係でも、選択の感覚を与えるだけで自律性の欲求が満たされ、意欲が高まり、大きな成果に結びつくことがあるのだ。

「どうやるか」も子供に選ばせる

 「何をやるか」「いつやるか」「どれくらいやるか」「どうやってやるか」子供に選ばせられるものは出来る限り選ばせると良い。また、そういった学習の本質部分以外でも、道具を選ばせるなどさせると良い。そうすれば、子供の意欲をうまく聞かせるのだ。本人に無理矢理「YES」と言わせるのは選択させたことにはならないため、その点には注意しなければならない。

教育と関連して

 「内からのやる気」大切ですね。学校での授業はやらなければいけないことが決まっているので、どうしても外からのやる気に頼ってしまいがちなところがあります。(そもそもやる気を引き出せないことも…)子どもが自分から「やりたい!」と思えるような環境づくりや授業作りをしていかなければならないと感じました。

 先生が決めるか、自分で決めるか、教師側にとったら大きな差はないような感じますが、子どもにとったら大きな違いになりますよね。振り返ってみると、私自身は基本的に子どもに任せてしまうタイプだなと思いました。任せすぎると、自由にしすぎてしまう子が出てきてしまうのもよく分かります。難しい…。自由と強制。それぞれの子にあったバランスを考える必要がありますね。