読書記録 一流の頭脳(2)ストレスを減らす!
現代では、ストレスと縁が無い人は少ないのではないでしょうか。ストレスを感じる原因とそれに対応する方法をまとめてあります。
要約
脳からストレスを取り払う
緊張すると「ドキドキ」する理由
ストレスに立ち向かうためには、まずストレスとは何か、それがどういった影響力を持つのかを理解しておく必要がある。
私たちの体には、「HPA軸(視床下部、下垂体、副腎軸)」と呼ばれるシステムが備わっている。脳が何かしらの脅威を感じると、視床下部がホルモンを放出して下垂体を刺激する。すると下垂体が別のホルモンを放出し、そのホルモンが血流によって運ばれ、副腎を刺激する。それを受けて副腎は「コルチゾール」と言うストレスホルモンを放出し、そのために動悸が激しくなる。
コルチゾールの血中濃度が上がると、脳も身体も厳戒態勢に入る。心拍数が増加し、脳は意識を集中させ、わずかな変化にも敏感になる。緊張すると体が反応してしまうと言う事態の犯人はコルチゾールというわけである。
ストレス物質「コルチゾール」をコントロールする
ストレスにうまく対処するために、コルチゾールが脳に及ぼす影響を減らすことが有効である。
そこで重要なのは運動である。
ランニングやサイクリングなどの運動すると、それを続けている間はコルチゾールの分泌量が増える。肉体に負荷がかかる活動は1種のストレスだからだ。
しかし運動が終われば、体はもうストレス反応を必要としないので、コルチゾールの分泌量が減り、さらにランニングを始める前のレベルにまで下がっていく。ランニングを習慣づけると、走っているときのコルチゾールの分泌量は次第に増えにくくなり、走り終えたときに下がる量は逆に増えていく。
定期的に運動を続けていると、運動以外のことが原因のストレスを変える時でも、コルチゾールの分泌量はわずかしか上がらなくなっていく。
つまり運動が、ストレスに対して過剰に反応しないように体をしつけるのである。
ウォーキングとランニング、どちらが有効か
ある実験において、不安による疾患を抱えたアメリカの大学生たちが、くじ引きでウォーキングかランニングのどちらかを選び、それを疲れない程度に週数回、20分ずつ2週間にわたって続けた。そこまで負荷がかかる運動ではないが、ウォーキングをした生徒もランニングをした生徒も、ストレスが軽減したのである。
その効果は運動した直後に実感でき、その後も消えることなく、丸1週間続いた。
どちらも効果を実感していたが、より高い効果を感じたのはランニングのグループだった。
ストレスを軽減したい場合は、肉体にある程度の負荷がかかる方が効果は高いということだ。
心拍数を上げて脳に「予行演習」させる
今障害の症状が始まると、心拍数と血圧が上昇する。脳は何か悪いことが起きるはずだと解釈して、心臓の鼓動が激しくなり、体が「闘争か逃走か」の態勢を整える。
これが不安やストレスに体がさらされたときの一連の流れである。
だが、ジョギングに出かけて何事もなく走り終えたとしても、やはり動悸は激しくなる。ところが走り終えたときに気分は穏やかになり、脳内でエンドルフィンとドーパミンと呼ばれる物質が放出されて快感を覚える。
つまり体を動かすことで「心拍数や血圧が上がっても、それは不安やパニックの前触れではなく、よい気分をもたらしてくれるものだ」と運動が脳に教え込むのである。
抗ストレス体質を培うために
オススメはランニングやスイミングなどの有酸素運動である。ストレスの緩和が目的なら、筋力トレーニングよりも有酸素運動のトレーニングの方が効果がある。少なくとも20分、体力に余裕があれば、30分から45分続けると良い。
それを習慣にし、長く続ければさらなる結果が期待できる。海馬と前頭葉が強化され感情のコントロールがしやすくなる。
また、週に少なくとも2.3回は心拍数が大幅に増えるような運動をする。たとえ動悸が激しくなっても、脳はそれが恐怖からくるものではなく、プラスの変化をもたらすものであることを学習する。
もし何らかの理由で心拍数を増やせない、あるいは増やしたくないのであれば、ただ散歩に出かけるだけでも良い。より活発に体を動かした時ほどでは無いにしても、ストレスを抑える効果はある。