特別支援教育 応用行動分析研修を受けて(1)

にほんブログ村 教育ブログへ

 本日、行動面の指導についての研修を受けました。

 応用行動分析しての話を中心として、基礎的な理論、指導方法、アセスメント等を学ぶ機会となりました。

 今回は行動分析の基本について、研修で学んだことを記録していきます。

1 行動分析の基本

行動分析の4つの基本ルール

ルール1 気になる行動の前と後の出来事を記録する

 行動の前の出来事を先行条件(刺激)後の出来事を後続条件(刺激)と呼ぶ。

 先行条件→行動→後続刺激の3つは時間的に連続していることから、この関係性を三項随伴性と呼ばれている。

 学校等での記録は、一般に「どんなときに、子どもがどのようなことをした」といった記述でなされることが多い。このような記録の下では、行動分析は力を発揮できないため、行動後の記録が需要である。

ルール2 行動に対する働きかけのを推測する

 行動分析においては後続刺激、2つの役割(機能)があると考えられている。1つは、随伴することで行動を増やすものと、もう1つは、減らすものである。行動を増やすものを強化刺激、減らすものを嫌悪刺激と呼んでいる。

 強化刺激、嫌悪刺激になっているかどうかは後続刺激の提示後の結果が、その提示刺激の機能(強化刺激なのか嫌悪刺激なのか)を決定する。

1、2の例が強化刺激か嫌悪刺激か考えてみよう。

(例)

1 教室の中で、子どもが好ましい行動したことに対して教師が、賞賛をした。

 

2 授業中勝手に離席をする子供に対して、遺跡の直後に大きな声で注意をした。

 

 1 は強化刺激、2は嫌悪刺激を提示したように見える。しかし、これだけの情報では判断できない。

 1の場合、強化刺激となっているかを判断するためには、子供の好ましい行動の生起確率がどう増加しなければならない。

 2の場合、離席する確率が低くならない限りは、嫌悪刺激を提示したことにはならない。離席に関する相互作用の場合、離席確率が増加するようなことになると教師の大きな声で注意するという対応は、教師の意図とは逆に強化刺激の役割を果たしていると分析することが可能である。

 相互作用の中で行動が増加することを「強化」、行動が減少してくることを「弱化」と呼んでいる。

ルール3 行動の学習パターンを見分ける

 行動分析においては、私たちが現在行っている行動は、学習の結果、習得されたものであると考える。行動の学習過程には、2つのパターンが存在する。

1、行動の後にある刺激が示されることによって生起確率が増加するパターン。

2、回避的・嫌悪的な先行条件下においてその行動の生起頻度が増加するパターン。

 1を正の強化、2を負の強化という。

 行動分析の日本語訳で用いられる「正、負」と言う訳言は、一般的に誤解をまねきやすい言葉である。「良い、悪い」というニュアンスでは無く、「追加する、取り除く」といったニュアンスを持つ言葉として理解すると混乱しにくい。

ルール4 行動の役割(機能)に注目する

 行動には行動型と機能(役割)があると捉える。機能には三項随伴性における後続条件(結果)によって規定される。

 行動型と機能の例を見てみよう。

(例)行動型

→結果

1、「飴をください」と言葉で言う

→飴がもらえる

2「飴をください」と手話で伝える

→飴がもらえる

3「飴をください」と文字で書く

→飴がもらえる

4大声で泣き叫ぶ

→飴がもらえる

 1〜4の行動はそれぞれ外見上全く異なる行動型であるが、結果は、いずれも「飴がもらえる」ことで共通している。つまり、これらの行動は、同じ機能(飴を要求する機能)をもつ行動であると考えられる。

 4の「大声で泣き叫ぶ」行動が頻発してきており、そのために保護者が口の中に雨を入れるような対応がなされたとしよう。私たちは、この場面での行動を低減させていくために、この子どもにどのような行動を教えれば良いのかを考えてみよう。

 「泣き叫ぶ」行動は、「飴を要求する」機能を持つ他の行動型を指導することができれば、低減させることが可能となると考えられる。この視点に基づく指導方法選定の可能性は、行動上の問題に取り組む際に常に念頭におくべき方法である。

 

以上。行動分析の基本についてでした。

次回は行動低減の方法論についてまとめたいとおもいます。