教育×読書 賢い子はスマホで何をしているのか(3)

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1 2章 要約

 

プログラミング教育の本当の意味 STEM教育と新しい学び方

アメリカがSTEM教育に力を入れてきた意外な理由

 最近、よく「STEM教育」という言葉を耳にすると思う。サイエンス(Science)、テクノロジー(Technology)、エンジニアリング(Engineering)、マテマティクス(Mathematics)の頭文字をつなげた言葉である。

 AIやIoTが現実のものとなって、このままいけばICT人材が不足する事は目に見えている。Microsoftが2012年に「2020年までに100万人が足りなくなる」と言う資産を出したこともあり、STEM教育の拡充が喫緊の課題として取り上げられた。アメリカ政府も予算を大幅に増やした。

 それでSTEM教育が世界的な流行語となり、日本に暮らす私たちの耳にも入ってくるようになったというわけだ。

 STEM教育という言葉が流行語になり始めた時期と、「21世紀型スキル」「コンピューテーショナル・シンキング」「プログラミング教育」と言う言葉に注目が集まった時期は重なっている。

 それだけAIやIoTが現実味を帯びている。またコストが下がり、コンピュータを利用した教育が本当に実現可能になった事が要因である。

なぜプログラミングだけ特別扱い?

 プログラミング教育だけ特別扱いされているという疑問を抱いた人もいるのではないだろうか。

 それは、今やコンピュータが、私たちの社会のありとあらゆる領域に溶け込んでいるからだ。

 家の中では、ご飯を炊くのも、洗濯をするのも、買い物をするのも、お風呂を入れるのも、冷暖房で室温を変えるのも、テレビを見るのにも、みんなコンピュータが制御している。

 家から1歩でても同じだ。電車の運行や信号を管理しているのも、病院の診察システムを管理しているのも、工場を動かしているのもコンピュータだ。

 仕事にしたって同様である。これまでハイテクと最も遠いイメージだった農業の分野にすら、コンピュータは進出してきている。

 建築でもそうだ。2017年のロシアで、3Dプリンターで出力した家が立った。たった1日完成したこともあり、大きな話題を呼んだ。

 コンピュータの存在感は、ますます大きくなってきている。

コンピュータの原理を知っておくことが大切

 ここまでコンピュータの存在が大きくなると、「どういう風に指示を出せば、自分の思うように動いてくれるか」を知っているのと知っていないのでは、大きな差が出てくる。たとえ基本的な原理だけであっても、万人が身に付けたほうがいいだろう。

 料理でも、英会話でも運転でもこれから先コンピューターへの指示の出し方を知っていればいい時代がやってくるかもしれない。そういう意味で、プログラミングの能力を身に付ける事は、重要度の次元が違う。

 世界中の学校でプログラミング教育が導入されている背景には、そういう理由がある。

「ICT人材を育てるため」という誤解

 「日本の子たち全員をプログラマーにするつもりなのか」という考えをもっている人も一定数いるだろう。

 しかし、プログラマーを養成したいわけでは無い。全員が身に付けておくべき基礎教養だから、子どものうちに学ばせたいだけである。

 国語の授業があるからといって、全員が作家を目指すわけではない。算数の授業があるから全員が数学者を目指すわけでは無いし、音楽の授業があるから全員がミュージシャンを目指すわけでもない。それと同じことである。

2 感想

教育と関連して

 私自身、プログラミング教育を何のために行っているのかということを深く考えて来ていなかったように思う。「指導要領に書いてあるから」「論理的に考える力を身に付けるため」など表面的な部分だけを見ていたと反省した。

 著者が、「プログラミング教育だけ特別扱いされているという疑問を抱いた人もいるのではないだろうか」と述べていたが、私もプログラミング教育は特別扱いされていると感じでいたことがあった。正直、「取り入れにくいな…」と思うこともあった。

 今回この本を読み、改めてプログラミング教育の大切さを感じることができた。

 今後、生きていく上でAIやIoTから逃れることはできない。これからを生きていく子どもを育てる教師が、コンピュータの原理を知らないわけにはいかない。

 何のためにプログラミング教育を行うのかをよく考え教育活動を行なっていきたい。